日本東洋医学雑誌
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臨床報告
救急受診した過換気発作に四逆散が有効と考えられた5症例
坂本 篤彦貝沼 茂三郎木下 義晃鶴田 良介日高 孝子栗山 一道
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2016 年 67 巻 2 号 p. 164-168

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抄録

過換気発作で救急外来を受診した5症例に対し,両側胸脇苦満,心下痞鞕ならびに腹直筋の異常緊張を根拠のひとつとして四逆散を投与し,速やかに症状が改善したので報告する。症例1は47歳女性,症例2は18歳女性,症例3は23歳女性,症例4は39歳男性,症例5は40歳男性で,いずれも呼吸困難とテタニーを主訴に救急受診し,腹部診察上,両側胸脇苦満と心下痞鞕,両側腹直筋緊張が著明であった。症例1—4は四逆散エキス2.5g 温服で速やかに改善した。症例5は内服不可能でジアゼパムを筋注したが,しびれの残存を強く訴えたため四逆散エキスを内服したところ速やかに症状改善した。過換気発作に対する漢方治療として四逆散が有用である可能性が示唆された。

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© 2016 一般社団法人 日本東洋医学会
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