J-STAGE トップ  >  資料トップ  > 書誌事項

日本東洋医学雑誌
Vol. 67 (2016) No. 3 p. 280-284

記事言語:

http://doi.org/10.3937/kampomed.67.280

臨床報告

当帰湯は,虚証,寒証の慢性の胸腹部痛・背痛を目標として用いる処方であるが,皮膚瘙痒症に有効であった報告は見当たらない。今回,冷えを伴う皮膚瘙痒症が当帰湯により速やかに改善した症例について報告する。
症例は38歳女性。X—1年春より顔面の皮膚瘙痒感が出現し,徐々に手背・耳後部にまで症状が拡大したため,X年5月に当科を初診。寒がり,冷え症で,背面全体が冷えて寝付けない時があり,腹部所見では全体に冷感を認め,皮疹は掻破痕のみであった。当帰湯5.0g/日を投与し,服用6日目に皮膚瘙痒感が消失した。しかし,冷飲水や当帰湯の休薬によって腹背部の冷えを認めると,皮膚瘙痒感が再燃した。また,皮膚瘙痒感を認める度に症状を詳細に書いたメモを持参する等の几帳面な性格が見受けられた。当帰湯は,大建中湯や当帰建中湯,半夏厚朴湯の要素も併せ持つため,冷え,気うつ,脾虚をベースとした皮膚瘙痒症には当帰湯も鑑別処方の一つと考えられる。

Copyright © 2016 一般社団法人 日本東洋医学会

記事ツール

この記事を共有