日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
臨床報告
冷えを伴う腰下肢痛患者における当帰四逆加呉茱萸生姜湯の有用性の検討
高橋 良佳光畑 裕正神山 洋一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 67 巻 4 号 p. 390-393

詳細
抄録

慢性の腰下肢痛は冷えにより増悪することが多いが,冷えに着目した西洋薬はない。当科では腰下肢痛や足腰の冷えを主訴とする患者が多く,神経ブロック療法に加えて漢方も併用した治療を行っている。そこで我々は後方調査を行い,冷えを伴う腰下肢痛患者で,現行の治療に加え当帰四逆加呉茱萸生姜湯7.5g 分3を投与されていた患者の内服前と1ヵ月後の痛み(VAS : Visual Analogue Scale で評価),腋窩温,両足背皮膚温,足関節—上腕血圧比,脈波伝播速度,満足度を検討した。対象は19症例で,VAS,腋窩温,両足背皮膚温において有意な改善が見られ,患者満足度も上がった。自覚的に冷えが改善したのは7症例(36.8%)であったが,全例で皮膚温の有意な上昇を認めた。当帰四逆加呉茱萸生姜湯は,客観的に皮膚温を高め鎮痛効果を示すことで満足度の向上に寄与することが示唆された。

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top