日本東洋医学雑誌
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原著
肥満に係わる遺伝的体質と東洋医学的体質との関係
—個別化栄養指導の導入に向けての検討—
久木 久美子久保 益秀大原 栄二坂井 孝
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2017 年 68 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

肥満に係わる遺伝的な体質(肥満関連遺伝子とする)と東洋医学的な体質,さらに食嗜好等の関連性を検討した。 肥満関連遺伝子はADRB3,UCP1及びADRB2についてPCR—CTPP を用い変異の有無を分析し,野生型と変異型に分類した。東洋医学的体質は体質アンケートを用い胃熱,脾虚,両方持たないに分類した。食嗜好等はアンケートを実施した。対象者は女81人,男28人で平均年齢は42.6歳,BMI 中央値は22.3kg/m2,低体重7人,普通体重83人,肥満19人である。肥満関連遺伝子のうちADRB3野生型は胃熱になりやすく胃熱群のBMI 値は高かった。食嗜好として油もの,辛いものを好んだ。ADRB3変異型は脾虚になりやすく脾虚群のBMI 値は低く食嗜好は胃熱と異なった。ADRB3の変異の有無と東洋医学的体質,さらに食嗜好の特徴を把握することで肥満予防のための個別化栄養指導ができる可能性が示唆された。

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© 2017 一般社団法人 日本東洋医学会
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