症例は8歳女児。主訴は視力低下。弱視や他眼疾患の既往歴は認めなかった。自他覚的屈折検査にて近視を認め,裸眼・矯正視力とも低下していた。調節麻痺剤使用による屈折検査にて近視の軽減化を認めたため調節緊張症と診断した。標準治療1ヵ月にても視力に改善を認めなかった。漢方医学的に疲労時に視力増悪すること,脾気虚と考えられる所見があることにより,小建中湯を処方した。投与4ヵ月にて裸眼視力右1.2,左1.2に改善し,現在も疲労時にも良好な視力を維持している。西洋医学的治療が無効な調節緊張症に対し,漢方治療が視力改善の選択肢となりうると考えられた。