日本東洋医学雑誌
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臨床報告
桂枝加竜骨牡蛎湯と甘麦大棗湯の兼用が有効であった不安症の4症例
永田 豊小山 俊平青山 和史貝塚 真知子中川 のぶ子長坂 和彦
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2017 年 68 巻 4 号 p. 317-323

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抄録

桂枝加竜骨牡蛎湯と甘麦大棗湯を兼用して投与し,精神症状が緩和された不安症/不安障害(以下,不安症)の4症例を報告する。共通した背景として,精神的ストレスの原因となる出来事を経験していた。さらに精神的ストレスへの曝露,再体験や再想起で精神症状の悪化がみられ,その時期には,甘麦大棗湯の兼用が有効であった。他覚的には,数脈で脈力と腹力が共に弱く,臍上悸を共通して認めた。欠伸は顕著でなかった。不安症や,ストレスに関連した精神障害を呈する患者に対して,しばしば漢方治療が有効となる。しかし,単独の漢方エキス方剤が奏功しない症例も多く,無効例に対して,桂枝加竜骨牡蛎湯と甘麦大棗湯の2剤の兼用または合方を応用しうる可能性が示唆された。

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© 2017 一般社団法人 日本東洋医学会
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