日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
臨床報告
慢性腎臓病(CKD)に対する黄耆末の使用経験
伏見 章山岡 秀樹永田 耕一鹿野 美弘井口 敬一
著者情報
キーワード: 慢性腎臓病, 黄耆, 腎機能
ジャーナル フリー

2017 年 68 巻 4 号 p. 324-332

詳細
抄録

慢性腎臓病に対する薬物療法の主体は西洋医学的治療であり,東洋医学的アプローチの推奨は記述されていない。 今回,腎炎・腎機能改善作用が報告されている単一成分の生薬“黄耆”に着目し,使用経験を解析し臨床的な特徴を検討した。対象症例は22例で性別,75歳以上,未満,CKD 罹患期間,開始1年前の推算GFR(eGFR)低下速度,開始時の蛋白尿の存在,糖尿病の有無に関係なく,全ての患者においてeGFR 値の改善を認めた。さらに診察室血圧変動幅と尿蛋白定性も改善を認めた。黄耆は,臨床的な特徴,重症度,原因疾患に関係なく,CKD に対し有効で安全に使用できる可能性がある。

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top