日本東洋医学雑誌
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原著
転移性腎癌症例へのスニチニブ投与に伴う口腔粘膜炎に対する半夏瀉心湯含嗽の有用性
大岡 均至
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2018 年 69 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

【目的】スニチニブ投与に合併する口腔粘膜炎(OM)に対する半夏瀉心湯(HST)含嗽の臨床的有用性につき検討する。
【対象と方法】対象はOM を発症した22例。12例に対してはHST を2.5g∗3回,食後30秒間含嗽後飲食を控えるよう指導(HST 含嗽群),他の10例に対しては含嗽以外の治療を行った(HST 非含嗽群)。治療前後における,KPS・OM グレード・体重・アルブミン(Alb.),ヘモグロビン(Hb.)・摂食状況の変化につき検討した。
【結果】HST 非含嗽群におけるOM グレードや摂食状況の改善は不良であったが,含嗽群では,開始翌日からOM は改善,摂食も好転し,体重・Alb.・Hb. 低下を認めなかった。
【考察】HST は,含嗽により癌化学療法に伴うOM に対しても有効である。含嗽によりOM がより早期に改善し,摂食が好転することで,全身状態の増悪が軽減されたものと考えられる。

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© 2018 一般社団法人 日本東洋医学会
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