2018 年 69 巻 2 号 p. 140-144
症例は60歳女性。左前頭葉の転移性脳腫瘍に対してガンマナイフ治療が施行された患者である。3ヵ月後に腫瘍および周辺浮腫が増大に転じ経過から放射線脳壊死と判断された。ステロイド内服を増量するも改善なく6ヵ月間は増悪傾向が続いた。経過中にbevacizumab 投与が検討されたが増悪が止まったため経過観察となり,1年以上経過するも画像および症状の改善はなかった。改めて治療方針を再検討すべくMethionine-PET を施行したが集積なく,放射線脳壊死の確定診断でステロイド治療が継続となった。漢方治療を併用することとし,柴苓湯9g 分3/日を追加したところ,9ヵ月後の頭部MRI で脳浮腫の改善が確認された。柴苓湯は放射線脳壊死による脳浮腫改善の一助となる可能性が示された。