日本東洋医学雑誌
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臨床報告
西洋医学的治療に抵抗した慢性尿路感染症に対して猪苓湯が著効した一例
藤田 良介福嶋 裕造井藤 久雄田頭 秀悟栁原 茂人中村 陽祐大竹 実
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2018 年 69 巻 4 号 p. 346-349

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抄録

尿路感染症は日常臨床において一般的な疾患であり,抗生剤が第1選択であるが再発例も多い,一般的には再発した時の治療も抗生剤の投与である。尿路不定愁訴や尿管結石への猪苓湯使用の報告は多いが,再発性尿路感染症への報告は少ない。本症例は84歳女性で4回尿路感染を再発し,4回入院をした。西洋医学的治療として抗生剤投与や神経因性膀胱に対してのα1遮断薬での治療及び生活指導を行ったが入院を繰り返した。猪苓湯を投与したところ,尿路感染の再発が起きなくなった。2ヵ月間に4回入退院を繰り返していたが,猪苓湯投与後は7ヵ月間再発することなく2ヵ月に1回外来通院をしている。猪苓湯は医療経済学的にも有用であると示唆される。

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© 2018 一般社団法人 日本東洋医学会
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