日本東洋医学雑誌
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臨床報告
桃核承気湯で偽アルドステロン症を発症したインスリン療法糖尿病患者の1症例
福田 功中田 英之石山 ひなこ小菅 孝明
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2019 年 70 巻 1 号 p. 25-28

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抄録

インスリン療法中(SII : subcutaneous insulin infusion)の患者への漢方治療では,甘草の副作用である偽アルドステロン症の発症には注意を要するとされているが具体的な臨床報告は少ない。今回,桃核承気湯にて偽アルドステロン症を呈したので報告する。
51歳女性。主訴は肩こり。10年前よりSII 療法(施行)中。
便秘の合併があり桃核承気湯7.5g/日開始したが症状改善しないため,3日目より同方剤10g/日とした所,頭痛,全身倦怠感,顔面と上下肢の浮腫,体重増加,血圧上昇,尿量と回数の低下を認めた。偽アルドステロン症と診断,同日にて投薬を中止し症状は改善。
SII 患者はグリチルリチンによりK+排泄が促進され,一方インスリンによりK+が細胞内に取込まれるため低K+血症をきたし,偽アルドステロン症が発症し易いと考えられた。SII 患者への甘草含有製剤の処方では注意が必要である。

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© 2019 一般社団法人 日本東洋医学会
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