日本東洋医学雑誌
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臨床報告
小建中湯,排膿散及湯の併用が奏効した頭部慢性膿皮症の1例
佐藤 佳浩
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2019 年 70 巻 1 号 p. 47-51

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抄録

慢性膿皮症は難治性の化膿性皮膚疾患である。症例は20歳男性。当院受診の6ヵ月前に頭部慢性膿皮症を発症し,頭皮に3cm 大の膿瘍と脱毛を生じた。皮膚科にて穿刺排膿や抗生剤の内服,テトラサイクリンの局注療法を繰り返し行うも改善せず,病変が頭部や顔面に多発してきたため漢方治療目的に当院を受診した。腹診にて腹皮拘急と腹壁過敏が著明であるため小建中湯証と診断し,標治薬として排膿散及湯も併用して治療を行ったところ,内服後徐々に症状が改善しはじめ,数ヵ月の経過で頭部,顔面の病変が完全治癒し,以後も再発なく現在に至っている。 慢性膿皮症に小建中湯を投与した報告例は見当たらず,証に従って治療すれば漢方薬は有効な治療手段になると思われた。

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© 2019 一般社団法人 日本東洋医学会
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