日本東洋医学雑誌
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臨床報告
腰痛と下肢痛・しびれに対する柴胡加竜骨牡蠣湯の治療経験
原田 直之山本 佳乃子小暮 敏明
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2020 年 71 巻 3 号 p. 241-245

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抄録

腰痛とそれに伴う下肢痛,しびれ感はしばしば難治性で日常生活動作の低下につながるため漢方治療の良い適応となっている。今回我々は,精神神経症状の有無にかかわらず柴胡加竜骨牡蠣湯が奏功した症例を複数経験したので報告する。症例は腰痛を主訴とし,下肢の痺れあるいは疼痛を伴う5例である。そのうち4例には精神神経症状はみられなかった。柴胡加竜骨牡蠣湯の投与によっていずれも2ないし4週間で疼痛の軽減と歩行距離の改善がみられ,鎮痛薬が不要となった。一般に,柴胡加竜骨牡蠣湯は精神神経症状を伴うものが適応とされるが,自覚的な症状がなくとも著効する場合があり,慢性疼痛による潜在性うつ状態を精神神経症状ととらえることで,腰痛緩和の鑑別処方になり得ると考える。

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© 2020 一般社団法人 日本東洋医学会
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