2021 年 72 巻 3 号 p. 248-253
夜驚症と睡眠時遊行症を合併した症例を報告する。症例は9歳男児で,睡眠中に突然覚醒すると歩き回りや泣き叫びといったエピソードが出現するようになった。発熱した日や学校行事に重なって出現することがあった。エピソードにより受傷するほどであり薬物治療が必要と考えられた。気虚がベースにあると考え小建中湯を内服したところ徐々にエピソードがなくなり,発熱機会も減少した。
今回治療前後に終夜睡眠ポリグラフ検査を行ったところ睡眠の質が改善していることが確認された。小建中湯は夜驚症の治療薬として知られているが終夜睡眠ポリグラフ検査を通して評価をしているのは今回の症例が初めてと考える。