日本東洋医学雑誌
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漢方近代化の試み (第8報)
古方における湯の生薬構成の基本パターンについて
遠田 裕政
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1982 年 33 巻 3 号 p. 111-119

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抄録

傷寒論と金匱要略に記載されている2味以上の湯について, 第1類薬 (桂枝, 甘草, 大黄, 大棗, 乾姜, 生姜) の有無・配合のあり方を調べ, 整理し, 考察した。理論的には, 26=64通りの配合パターンがあるはずであるが, 上記古典の中に実際に存在するパターンは約半分の33通りであった。それらのパターンを図式化して表現し, また, そこに属する具体的な湯名と数をまとめ, 種々の考察を行った。ある若干のパターンにのみ, 湯の集中が起きており, これらの比較研究から, 湯の自然発生における2つの大きな流れ (2大変移の現象) の存在に気づいた。甘草1味の追加による湯の基本パターンの変移と, 大棗と生姜の1対の生薬の追加によるその変移とである。ともに, 古代人の五感への好ましい剌戟作用という面から容易に説明された。この見方にもとづいて, 桂枝湯の成立の過程について, 若干の考察を行った。

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