アトピー性皮膚炎の14才少女が漢方薬によって治療された。臨床像も検査所見も, アトピー性皮膚炎のそれらと明らかに一致するものであった。皮膚病変は, 前額, 上眼瞼, 頸部, 肘窩部において著明であった。好酸性自血球の百分率は苓桂朮甘湯での治療前は9%, 治療後は1%であった。IgEの価 (<500) は治療前は3, 091, 治療後は3, 567であった。RASTは異常であり, 治療の前後において本質的には変化がなかった。苓桂朮甘湯の治療的影響のメカニズムが “個体病理学” の立場から, 簡潔に論じられた。