日本東洋医学雑誌
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漢方近代化の試み (第9報)
康治本傷寒論における湯の生薬構成の基本パターンについて
遠田 裕政
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1985 年 36 巻 3 号 p. 185-196

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抄録

康治本傷寒論に記載されている50方の湯について, 第1類薬 (桂枝, 甘草, 大黄, 大棗, 乾姜, 生姜) の有無・配合のあり方 (基本パターン) を調べ, 整理し, 考察した。一般の傷寒論と金匱要略とでは33種の基本パターンがあったが, 康治本傷寒論では, 19種であった。ここに存在しなかった14種の基本パターンを研究することにより, 逆に, 康治本傷寒論での「生薬の使われ方の法則」の一部が, 明瞭になってきた。すなわち, 康治本傷寒論では, 1) 桂枝は常に甘草とともに使用された, 2) 乾姜は, 大黄や生姜とは, けっしてともに使用されることはなかった, 3) 大棗がない時は, 生姜と甘草がともに使用されることはなかった, ということである。
以上のことを, さらに考察することによって, 康治本傷寒論が, 一般の傷寒論の原始的な形態のものであることを, 強く示唆する結果が得られたように思われる。

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