日本東洋医学雑誌
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肝炎ないし肝障害の漢方医学的病期分類と対応方剤
関 正威宮川 マリ鈴木 博夫
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1985 年 36 巻 4 号 p. 239-244

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抄録

薬効度と, 手術後または肝炎ないし肝障害の発病から, 漢方薬投与開始までの経過期間との関係から, 肝炎ないし肝障害の通常の臨床経過を中国医学の観点から次のように考えることができた。すなわち手術後ないし発病後の2ヵ月間を陽病期, 陽病期後の4ヵ月間を陽陰移行期, その後は陰病期である。陰病期はさらに初期と後期に区別され, その境界は手術後ないし発病後5年である。
陽病期では薬効は大部分著明で, 使用された薬剤は主として, 著効例の治癒と有効例の増加を特徴とする陽陰移行期に用いられた薬剤と同様に, 気分, 熱証用薬剤であった。陰病初期では無効例が増加をはじめ, 用いられた薬剤は気分用から営分用にわたっていた。陰病後期では著効例が消失し, 有効例と無効例が主であった。この期では血分用の薬剤が気分や営分用の薬剤に時々加えられており, 虚寒証用の薬剤の比較的増加が認められた。

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