日本東洋医学雑誌
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赤丸料の適応病態に関する一考察
伊藤 隆寺澤 捷年桧山 幸孝三潴 忠道土佐 寛順今田屋 章
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1987 年 37 巻 3 号 p. 199-206

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抄録

金匱要略所載の赤丸を料として, 80症例 (延87例) に投与した。赤丸の処方構成は茯苓, 烏頭, 細辛に桂枝または半夏を加えるとされている。その有効例, 無効例の解析を行ったところ, 桂枝の加わった赤丸料により高い有効性が得られた。赤丸料は“表”に主座をもつ病変に比較的有効であるが, 有効率を高めるためには鳥頭を一日2g以上用いることが必要であることが示唆された。
脈候・腹候に本方に特徴的な所見は得られなかったが, 電気温鍼法による負荷試験で20分以上を示すことが必要条件である。また自覚的には身体の寒さを異常に訴えるもの, 易疲労を伴うものに適応となるものが多い傾向が示された。金匱要略には「寒気厥逆」とのみその適応病態が記されているが, 今回の研究により本方の適応病態がより具体化されたものと考える。

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