日本東洋医学雑誌
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併病の臨床的意義
福田 佳弘
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1988 年 38 巻 4 号 p. 243-249

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抄録

傷寒論には併病としての治方は, 正文として二陽の併病しか掲げられていない。だが藤平健は, その深い論究により「併病とは, 二薬方証の併存であって, その症状が互に相関連し合っており, その治に当っては先後などの一定の法則に従うもの」と定義している。さらに, この併病は急性疾患のみならず慢性疾患においてもしばしば現れると述べている。本論には, 尾台榕堂が著した『方伎雑誌』にある二つの症例に, 併病としての考察を加え, 次いで著者の治験を呈示し私見を述べた。先人の口訣にみる薬味加減, さらには中医学における薬性吟味もさることながら, 先んじて『傷寒論』に述べられている併病の治方原則を臨床の中で実践躬行し, その卓効を悟るべきである。

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