日本東洋医学雑誌
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舌所見と胃X線所見との関連性について
高橋 宏三土佐 寛順嶋田 豊新谷 卓弘寺澤 捷年
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1988 年 39 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

漢方医学的な舌診所見と胃X線所見との関連性について検討した。
対象は当診療部通院中の患者で, 94例である。方法は胃X線検査直前に舌写真を撮影し, 後日, 舌写真と胃X線写真を個別に検討した。舌所見は, 舌質を腫大, 歯痕, 亀裂, 萎縮, 舌尖部の赤み, 点刺の有無について, また舌苔を厚さ, 色調について評価した。胃X線所見は, 胃角の高さ, 大彎鋸歯像, 萎縮性変化, びらんなどについて評価した。
結果は, (1) 舌の腫大および歯痕と大彎鋸歯像の出現に関連があり, (2) 舌の萎縮が高度なほど胃角が低位であり, (3) 舌苔が厚く黄色調であるほど胃びらんが高度で, (4) 舌苔が白色調であれば胃角低位であることが明らかになった。
これらの成績は漢方医学的舌診所見の出現の背景因子と胃X線所見の出現因子との間に共通の因子のあることを示唆するものである。

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