日本東洋医学雑誌
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白虎湯の加味方が奏効したアトピー性皮膚炎の一経験例
遠田 裕政岡本 洋明森山 健三渋谷 知宣雨宮 修二
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1988 年 39 巻 1 号 p. 23-28

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抄録

アトピー性皮膚炎の19歳の少女を漢方で治療した。当科外来での皮膚病変は, 胸部, 腹部, 肘窩部や膝窩部にも認められたが, 顔面と頸項部において特に顕著であった。
初めは, 白虎加人参湯の煎剤を, それらの成分の通常量のままで処方したが, 後に, 黄連を追加した。顔面の潮紅と口渇を改善するために, 黄連と石膏の量を徐々に増量した。この治療を始めて25週後, 皮膚病変はほとんど消失し, 以後少なくも3年間は, 何の治療も必要のない状態である。
皮疹の治癒のメカニズムについて,“細胞病理学”の観点と“個体病理学”の観点から, 若干の考察を加えた。

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