掌蹠膿疱症の31歳の婦人を漢方で治療した。当科外来での皮膚病変は, 両手の手掌にも認められたが, 両足の踵部および足底部において特に顕著であった。
証に従って桂枝加黄耆湯の煎剤を処方した。この治療をはじめて2週間後に膿疱は一見増加したが, その後は減少していった。4ヵ月後, 皮膚病変はほとんど消失した。この治療開始後10ヵ月の時点で, ほんの軽度の一過性の再燃が認められたが, 12ヵ月後には, この疾患はほとんど完全に治癒した。
皮疹の治癒のメカニズムについて,“細胞病理学”の観点と“個体病理学”の観点から, 若干の考察を加えた。