日本東洋医学雑誌
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桂枝加黄耆湯が奏効した掌蹠膿疱症の一症例
遠田 裕政岡本 洋明森山 健三渋谷 知宣雨宮 修二中川 昌梅村 喜三郎
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1989 年 40 巻 1 号 p. 43-50

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抄録

掌蹠膿疱症の31歳の婦人を漢方で治療した。当科外来での皮膚病変は, 両手の手掌にも認められたが, 両足の踵部および足底部において特に顕著であった。
証に従って桂枝加黄耆湯の煎剤を処方した。この治療をはじめて2週間後に膿疱は一見増加したが, その後は減少していった。4ヵ月後, 皮膚病変はほとんど消失した。この治療開始後10ヵ月の時点で, ほんの軽度の一過性の再燃が認められたが, 12ヵ月後には, この疾患はほとんど完全に治癒した。
皮疹の治癒のメカニズムについて,“細胞病理学”の観点と“個体病理学”の観点から, 若干の考察を加えた。

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