日本東洋医学雑誌
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加味逍遙散による背部痛の鑑別診断
山上 裕章住田 剛橋爪 圭司奥田 孝雄
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1991 年 42 巻 1 号 p. 41-46

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抄録

心因性背部痛と椎間関節症による背部痛の鑑別診断は難しい。今回, 加味逍遙散投与と椎間関節ブロックの両方を施行した背部痛18例について Retrospective に検討を行った。加味逍遙散は, X線写真で椎間関節症が疑われた所見陽性例の45.5%, 陰性例の85.7%に有効だった。MMPI陽性 (性格偏位) 例では加味逍遙散は87.5%に有効で, 正常例には40%の有効にすぎなかった。また神経ブロック無効例の57.1%に加味逍遙散が有効だった。加味逍遙散の有効例のMMPI所見は正常異常の有無にかかわらず心気症・ヒステリー傾向が強調されていた。以上から, 神経ブロック療法で充分な効果が得られぬ心因性背部痛症例に対し加味逍遙散の効果が期待でき, またX線写真で異常が認められない背部痛には加味逍遙散の投与が診断・治療の一助になると思われる。

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