日本東洋医学雑誌
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木防巳湯が著効した肺気腫に伴う肺性心の一例
本間 行彦
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1991 年 42 巻 2 号 p. 265-269

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抄録

肺気腫は難治疾患であり, 特に肺気腫に伴う肺性心, すなわち右室不全に対する治療では西洋医学的に根本的対策がないといえる。本症に木防已湯を投与して著効を得た。
症例は67歳の男性で, 以前より高血圧・糖尿病があり, 入退院を繰り返していた。63歳時肺気腫の診断を受け, 65歳時から肺性心がみられるようになった。昭和54年11月 (67歳) 感冒罹患後, 息切れとともに全身浮腫・腹水が著明となり, ジギタリス剤, 利尿剤 (フロセミド) などを使用したが一進一退であった。心下痞堅の証に合わせて木防已湯を併用したところ, 浮腫・腹水の消失, 心胸郭比の縮小などとともに息切れが著明に改善した。本症には木防已湯の適応が多いと推測された。

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