日本東洋医学雑誌
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大建中湯の単純性腸閉塞症への有用性に関する臨床的検討
森脇 義弘山本 俊郎片村 宏杉山 貢
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1992 年 43 巻 2 号 p. 303-308

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抄録

単純性腸閉塞症24例に大建中湯エキス顆粒15g/日を経チューブ的または経口的に投与した。チューブによる減圧, 消化管運動促進薬の投与は適宜併用した。保存的解除率は95.8%, 有効率は70.8%であった。減圧チューブを挿入した20例で, 治療を開始してから三分粥, 五分粥摂取までの期間は9.1±3.6日, 10.4±4.1日と, 大建中湯を使用しなかった対照群のそれと変りなかった。チューブ内投与を行なった13例では, チューブ抜去から三分粥, 五分粥摂取までの期間は3.6±1.5日, 4.6±1.7日で, 対照群よりも短期間であった。減圧チューブを挿入しなかった4例の治療開始後三分粥, 五分粥摂取可能となるまでの期間は4.2±1.6日, 6.7±1.9日で, 対照群のそれよりも短期間であった。また, 腸閉塞の改善度を定量化するために, 従来, 胃排出能の試験として用いられてきたアセトアミノフェンの吸収試験を用いたところ, 臨床症状や腹部単純X線所見の改善を良く反映していた。

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