日本東洋医学雑誌
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小児上気道炎に対する漢方薬治療群と西洋薬治療群の成績の比較について
阿部 勝利高木 清文
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1993 年 43 巻 4 号 p. 509-515

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抄録

小児の夏期上気道炎とインフルエンザについて, それぞれ漢方薬治療群 (以下漢方群と略) と西洋薬治療群 (以下西洋群) に分けて, その成績を比較した。夏期上気道炎419名 (漢方群212名, 西洋群207名) については漢方群のほうが1回受診の患者が多く, 遷延し何回も来診した例は少なかった。急性気管支炎に進行した例数は, 漢方群1名, 西洋群12名であった。即ち漢方群のほうが, 受診回数が少なく, 重症化例も少ないといえる。インフルエンザ (783名) については, 両群間 (漢方群386名, 西洋群397名) で受診回数に大差はなかったが, 漢方群の急性気管支炎進行例12名, 肺炎進行例0に対し, 西洋群では各々25名, 2名であった。即ち漢方群のほうが, 重症化例は少ないといえる。漢方群の初診時使用薬方は, 春秋は桂麻各半湯, 夏は銀翹散または桂麻各半湯, 冬は麻黄湯が多かった。小児のカゼに桂麻各半湯の有用性は高いと考えられた。

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