日本東洋医学雑誌
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慢性肝疾患とくに肝硬変にみられる硬直性有痛性筋痙攣 (こむら返り) に対する柴苓湯の使用経験
中尾 昌弘平野 東桓平谷 定彦藤澤 正佳斉藤 忍池田 明世
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1993 年 43 巻 4 号 p. 539-544

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抄録

慢性肝疾患とくに肝硬変にみられる硬直性有痛性筋痙攣 (こむら返り) に対して柴苓湯5.4~8.1g/日の投与を行った。筋痙攣が全く消失した3例を含めて7例中6例において筋痙攣の頻度の明らかな減少と, 筋痙攣に伴う疼痛の程度の改善を認めた。なお, 有効例においては, いずれも, 柴苓湯投与後2週以内に十分な効果の発現をみている。有効例中著効を示した一例を呈示する。腹部から下肢に至る強い筋痙攣を頻発する71歳, 女性の肝硬変例に柴苓湯の投与を行った。投与開始翌日には, 筋痙攣の消失をみた。その後, 患者自身の判断で服薬を中止したところ, 再び筋痙攣が出現した。柴苓湯の服用を再開すると, 投与再開翌日には筋痙攣は消失した。これらの成績より, 柴苓湯の効果は疑う余地がなく, 慢性肝疾患とくに肝硬変にみられる筋痙攣に対する柴苓湯の投与が非常に有効なことがわかった。

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