日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
半夏潟心湯投与後, 吃逆が消失した延髄外側症候群の1例
村松 慎一
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 44 巻 1 号 p. 37-41

詳細
抄録

延髄外側症候群に伴った持続性の吃逆に対して, 半夏潟心湯が奏効した1例を経験した。症例は35歳の男性。嚥下障害, 構音障害があり, 右側で Horner 症候群, 顔面のしびれ, 小脳性運動失調, 左側で体幹, 上下肢の温痛覚障害を認めた。MRIで延髄右背外側に出血性の病巣が確認された。第5病日より持続性の吃逆が出現し, clonazepam は無効であった。心下痞鞭を認めたことより, 半夏瀉心湯エキス製剤5gを投与したところ, 吃逆は消失した。中枢性の吃逆に対しても, 漢方治療が有効と考えられ, 今後, 積極的な治験の蓄積が望まれる。

著者関連情報
© 社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top