日本東洋医学雑誌
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外傷を加機に月経困難症が増悪し漢方治療が奏功した一症例
日下 真純藤本 征一郎
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1993 年 44 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

症例は25歳。生来, 月経時下腹部痛が強かったが, 肋骨骨折後, 月経困難症が漸悪し, めまい, 動悸, 倦怠感などの不定愁訴も出現した。外傷により陽気が下陥し, 脾胃の衰えを生じて著しい気虚となり, また, 局所の血液欝滞が〓血を増悪したものと判断した。理血剤である当帰芍薬散に, 補気剤である補中益気湯を合方して投与した。月経痛は, 不定愁訴を含めて, 徐々に改善し, 漢方治療が奏功したものと思われた。器質的疾患を有しない加機能性月経困難症は治療に苦慮するが, その病態を東洋医学的に捉えて, 〓血をはじめとする病因を取り除く漢方療法は, 根治療法として有用なものと思われる。

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