日本東洋医学雑誌
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人間ドック受診者における脈診・舌診・腹診の検討
二宮 裕幸土佐 寛順嶋田 豊金木 英輔奥田 拓道寺澤 捷年
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1994 年 44 巻 3 号 p. 403-413

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抄録

脈診・舌診・腹診の正常者における性状を明らかにするために, 人間ドック受診者のうち西洋医学的には異常を認めなかった71名について脈診・舌診・腹診を行い, その診察所見を検討した。脈診所見で男性は脈の浮沈は中間, 数遅は中間, 大小はやや大, 虚実はやや実が一般的であり, 女性においては男性の脈所見と同様のグループと, 浮沈は中間, 数遅は中間, 大小はやや小, 虚実はやや虚のグループの少なくとも2グループが存在することが示唆された。舌診所見は, 舌質の色調は淡紅で, やや湿潤, やや腫大傾向を認めた。舌苔は, 微白苔から白苔を示した。腹診では, 出現頻度の高いものとして胸脇苦満右 (男, 女), 右の臍傍圧痛 (女), 臍上悸 (女), 臍下不仁 (男) があり, 統計学的に有意な性差を認めたものは, 臍下不仁が男性に多く, 臍傍圧痛右および臍上悸が女性に多い結果が得られた。また, 腹診所見相互の関連性についても有意な相関を認めた。

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