日本東洋医学雑誌
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和漢薬治療が奏効した, 再燃を繰り返したクローン病の一例
小暮 敏明嶋田 豊土佐 寛順寺澤 捷年
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1994 年 44 巻 3 号 p. 443-449

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抄録

病例は17歳, 男性。1989年に発熱で発症し近医へ入院, クローン病・回腸結腸型と診断された。中心静脈栄養, 栄養療法 (Elemental diet), サラゾスルファピリジンにより寛解を得たが, 普通食摂取とともに再燃を繰り返し, 2度の入院加療を要していた。1992年7月, 3回目の再燃時に和漢薬治療を希望し当科を受診し入院となった。炎症反応が強く, 発熱, 体重減少の存在から絶食, 中心静脈栄養管理とし証に従い〓帰膠艾湯と半夏瀉心湯を経口投与 (併用) した。約1ヵ月後にCRPは陰性となり Elemental diet を開始し, 2ヵ月後は Elemental diet と普通食の摂取が可能となった。普通食の摂取後も寛解を維持している。
本例は栄養療法施行下で再燃を繰り返したクローン病に対し和漢薬治実療を試み寛解期の維持が可能となった症例であり, 本症の維持療法で Elemental diet と和漢薬の併用が重要な位置をしめる可能性が示唆された。

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