日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
小青竜湯と麦門冬湯の好酸球生存および脱顆粒に対する効果
大久保 喜雄関口 守衛
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 44 巻 4 号 p. 501-507

詳細
抄録

我々は in vitro で小青竜湯および麦門冬湯の好酸球への生存率および脱顆粒への効果につき検討した。ヒト好酸球を種々の濃度の小青竜湯および麦門冬湯と recombinant human interleukin-5 (rhIL-5) 存在下 (100pg/ml) および非存在下で37℃, 5%CO295% air 条件下で培養し, 4日後に好酸球の生存率を算定した。
小青竜湯および麦門冬湯両者は1000μg/mlの濃度で有意に好酸球の生存率を抑制した (それぞれp<0.05)・脱顆粒の測定のため, ヒト好酸球を種々の濃度の小青竜湯および麦門冬湯と15分間37℃, 5%CO295% air 存在下で培養し, さらにその後卵白アルブミン (OVA), ヒト免疫グロブリンG (hIgG) またはヒト分泌型免疫グロブリンA (hsIgA) でコーティングした sepharose 4Bと4時間培養した。その後培養上清を採取してラジオイムノアッセイにより好酸球の脱顆粒を示す eosinophil cationic protein の量を測定した。 OVA, hIgGおよびhsIgAによる好酸球の脱顆粒は小青竜湯 (それぞれ40μg/ml, p<0.05; 200μg/ml, p<0.05; 200μg/me, p<0.05) により有意に抑制された。 OVAによる好酸球の脱顆粒は麦門冬湯 (1000μg/ml, p<0.05) により有意に抑制された。これらの結果はさらに研究が必要であるが小青竜湯および麦門冬湯の両者のうち特に小青竜湯はアレルギーの治療に対して有用である可能性があることを示唆する。

著者関連情報
© 社団法人 日本東洋医学会
次の記事
feedback
Top