1994 年 44 巻 4 号 p. 583-587
葛根湯など辛温解表薬の内服の際には, 経験的に温服が重要とされているが, 冷服との効果の差についてはほとんど報告はない。冷温水や温食物が体温に与える影響についても同様である。温服の意義を考察するために, 60℃の温湯180ml, 10℃の冷水180mlを成人10名に飲ませ, 鼓膜温を測定した。さらに70℃の汁400mlを含む天ぷらそばを食べた際の鼓膜温の変化も測定した。
温湯の内服では8名に発汗があり, 鼓膜温の変化は一定の傾向は見られなかった。天ぷらそばの摂取では, 鼓膜温が0.73℃上昇した。10℃の冷水では鼓膜温が0.52℃低下した。葛根湯の内服では, 鼓膜温に変化は認められなかった。