1994 年 45 巻 1 号 p. 107-113
高齢者の口腔乾燥症状に対する白虎加人参湯の効果および自覚症状の改善度と証との関連性について観察した。
白虎加人参湯の投与により30名の患者の中, 60%の患者で症状の改善をみた。効果の得られた患者では, 無効群に比べ, 年齢が低く, 体格がよいものが多く, 無効群との間に統計的有意差が認められた。また食欲不振の発現率は無効群で有意に高かった。しかし便泌, 下痢, 腹鳴, 上腹部膨満感, 身体の冷えの発現率に関しては両群間に有意な差は見られなかった。苦味, 口渇, ねばり, 粘膜乾燥等の口腔内の証の発現率に関しても両群間に有意な差は認められなかった。これらの結果から白虎加人参湯は高齢者でも年齢が低く, 体格がよい, 実証に有効であると考えられた。