日本東洋医学雑誌
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マウス脳内モノアミン関連物質に及ぼす柴胡加竜骨牡蛎湯の影響
伊藤 忠信村井 繁夫斉藤 弘子伊藤 真紀小田島 潤一道尻 誠助橋本 信孝
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1994 年 45 巻 1 号 p. 97-106

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抄録

柴胡加竜骨牡蛎湯 (研究用エキス原末; 以下柴竜と略す) の中枢モノアミン関連物質に及ぼす影響について, マウスを用いて検討した。柴竜は50mg/kgまたは400mg/kgを経口的に単回または反復 (1日2回, 7日間) 投与した。脳の摘出, 分割は常法に従って行い, モノアミン関連物質の測定はHPLC-ECDを用いる方法で行った。主な結果は, 次の通りである。
大脳皮質では, 50mg/kgの単回および反復投与でDOPAC, HVA含量の増大; 視床下部では, 50mg/kgの単回投与でNE含量の減少, 反復投与でNE含量の減少とDOPAC含量の増大; 線条体では, 50mg/kgの単回投与でDA, DOPAC, HVA, 5-HIAA含量の増大, 反復投与ではそのほかにNE, MHPG含量の増大, 400mg/kgの単回投与でNE, 5-HIAA含量の増大と反復投与でNE含量の増大; 海馬では, 50mg/kgの反復投与でMHPG含量の増大, 400mg/kgの反復投与でHVAの減少が認められた。以上のことから, 柴竜は400mg/kgよりも50mg/kg投与のほうがマウス脳内モノアミン含量への影響が強く, その効果は脳部位によって異なることが示唆される。

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