東洋医学的腹証の客観的評価及び解析の試みとして超音波エコーを用い臍下不仁の腹壁での変化を観察した。臍下不仁では腹直筋の厚さ, 白線部の厚さが共に菲薄化し, 両側腹直筋間の距離 (白線部の広さに相当) は開大した。この所見は臍下不仁を腹証上示し易い, 臍と恥骨上縁の中点で著明だった。
これらの臍下正中部の浅い腹壁組織での変化により, 腹壁の緊張低下を生じ触診上臍下不仁として腹証に現れるものと考えられた。また, 超音波エコー法は臍下不仁の補助診断や経過観察に有効な手段のひとつになりえる事が示された。