日本東洋医学雑誌
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脳血管障害者の腓腹筋痙攣に対する芍薬甘草湯エキス顆粒の効果
阪本 次夫星野 昌伯
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1995 年 45 巻 3 号 p. 563-568

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抄録

外来通院の脳血管障害者50例 (32~81歳) に, 夜間熟睡中, 腓腹筋痙攣が起こって睡眠が障害されるかどうかを訊ね, 有痙攣者は11例 (22%) であった。このうち週1~3日以上発生する患者8例に芍薬甘草湯エキス顆粒2.5gを2週間毎日就寝前に投与し, 効果十分なものは同量を, 効果不十分なものはその倍量を, さらに2週間投与し, 4週目にその治療効果を判定した。
その結果4週間服用できた5例全員に著明改善から軽度改善を認めた。その効果発現は早かった。この成績は筋弛緩剤やマイナートランキライザーに劣らないもので, 脳血管障害者の腓腹筋痙攣に対し, 芍薬甘草湯エキス顆粒は有用であることを認めた。
2週以上服用した患者の1例に偽アルドステロン症の副作用を認めた。これは本剤の唯一の欠点であるが, 服用中止によりすみやかに消失した。

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