糖尿性網膜症の症例33例 (男12, 女21) について全身的背景を目標にした漢方治療のアプローチとその効果について考察を加えた。
症例の多くは単純型および前増殖型網膜症であった。弁証分型別にみると, 気虚・陰虚および気陰両虚に痰湿や〓血を伴うものが多く, 気滞-〓血を示すものもみられた。それぞれに全身的背景を考慮した方剤 (医療用漢方エキス剤) を6ヵ月以上用いた。
経過観察の目標として, 出血斑・白斑および視力の推移を観察した。何れの観点からも80%以上の改善がみられた。
DMRに対する方剤の選択には基本的病態に注目して, これをきめる必要があると思われた。