日本東洋医学雑誌
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気管支喘息に対する小青竜湯の臨床効果
多施設 open trial による評価
江頭 洋祐吉田 稔長野 準
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1995 年 45 巻 4 号 p. 859-876

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抄録

成人気管支喘息で, 予め小青竜湯の証に準じて選定した75名の患者に対して小青竜湯エキス顆粒 (TJ-19) の有効性, 安全性および有用性を九州地区で呼吸器専門診療を行っている17施設で Open Triai (A. 日記評価法, B. 概括判定法) にて検討した。
本剤を気管支拡張剤などの新薬とともに4~8週間の長期投与を行ったところ発作点数, 治療点数および喘息点数は投与前の観察期間にくらべて経過と共に有意の改善が認められた。症状別には痰の量や切れ, 日常生活点数, 夜間睡眠点数, くしゃみ, 鼻水は投与前にくらべていずれも有意の改善が認められた。最終全般改善度は著明改善13例 (18.8%), 中等度改善23例 (33.3%), 軽度改善19例 (27.5%) で, 中改以上で52.2%, 軽改以上で79.7%であった。
主治医の使用印象として, 鼻症状 (くしゃみ, 鼻水) の改善, β-刺激剤吸入回数の減少, かぜの予防効果, ステロイド減量・離脱等が挙げられた。副作用は3例にあったが直接の因果関係が疑われる症例は1例のみであった。
以上により, 小青竜湯エキス剤 (TJ-19) の証に準じた投与は, 成人気管支喘息に有用であり, かつ長期投与も可能であることが推察された。

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