日本東洋医学雑誌
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難治性多発性筋炎患者への漢方治療 (六味丸, 猪苓湯) による一改善例について
片桐 敏郎大野 修嗣秋山 雄次浅岡 俊之今井 隆喜田中 政彦鈴木 輝彦土肥 豊
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1995 年 45 巻 4 号 p. 881-885

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抄録

42歳, 女性。1984年全身倦怠感, 四肢近位筋筋力低下出現し当科受診。CPK高値, 筋電図, 筋生検等より多発性筋炎と診断し, 当初ステロイド剤に良好に反応したが1年後には再燃。以後, メトトレキサート, アザチオプリンの免疫抑制剤, ステロイド剤パルス療法, 血漿交換療法等の治療を試みるも全て無効であった。1991年9月CPKは800mU/ml前後の異常値を持続していた。東洋医学的所見にて腎陰虚と診断し, 六味丸7.5g/日を80日間投与したところ, CPKは200mU/ml前後まで低下し, 全身倦怠感, 四肢近位筋筋力低下は改善した。しかし, 下肢の浮腫が持続したため, 六味丸を中止し猪苓湯7.5g/日に変更したところ, 下肢の浮腫は改善し, CPKは100mU/ml前後と正常化した。この間ステロイド剤は, プレドニゾロン30mg/日を継続投与した。CPKの改善に伴い現在ステロイド剤を漸減中である。

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