日本東洋医学雑誌
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多変量解析の手法 (数量化III類) による証の検討
岩崎 鋼松本 清彦神 久和佐々木 英忠
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1995 年 46 巻 1 号 p. 109-120

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抄録

高血圧を主病とする患者集団において, 症状の分布から数量化III類によって患者, 症状を数量化し, その結果得られた数量軸と, 従来の証の概念とを比較検討した。症状の第1軸は, 虚実の程度を反映していると考えられた。又, 症状の第1, 第2, 第3軸を組み合わせて検討すると, この患者集団が有する症状の中に, 集団内における出現パターンの異なるいくつかのグループが存在することが判り, そこには従来中医学で言われていた広義の肝気鬱結, 腎虚 (或いは広義に気虚) などの概念との類似が見いだされた。従来の弁証論治は, 様々な症状を, その出現パターンの特徴を捉えて「証」として弁別している。今回の検討は, その弁別の妥当性について客観的に評価する方法論を示唆していると言えよう。

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