日本東洋医学雑誌
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三叉神経痛に対する小柴胡湯・桂枝加芍薬湯併用療法の効果
大野 健次延原 弘明
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1995 年 46 巻 1 号 p. 55-61

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抄録

三叉神経痛の患者34名に, 小柴胡湯と桂枝加芍薬湯のエキス顆粒を同時に投与し, 2週間後における効果を検討した。
漢方薬開始前から carbamazepine (CBZ) を服用していた19名のうち11名において, CBZ を減量または中止することができ, 症状の変化から14名において漢方処方が有効であると考えられた。漢方薬のみを投与した11名中8名に痛みの消失ないし軽減がみられた。
効果判定不能の4名を除くと, 30名中22名 (73%) において小柴胡湯・桂枝加芍薬湯が有効であった。
小柴胡湯合桂枝加芍薬湯は基礎実験と臨床の両面から抗けいれん作用が確かめられており, 三叉神経痛治療の標準薬であるCBZと薬理学的な共通点が多い。小柴胡湯・桂枝加芍薬湯を単独で, あるいはCBZと併用して用いることにより, 三叉神経痛の薬物療法がより有効で安全なものとなる可能性があると思われた。

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