日本東洋医学雑誌
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実験的出血性ショックに対する茯苓四逆湯の効果
木多 秀彰宮田 秀夫富田 利夫佐藤 直毅門馬 公経小暮 洋暉
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1995 年 46 巻 2 号 p. 251-256

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抄録

出血性ショックに対する茯苓四逆湯の効果について, 犬を用いて実験的に検討を行った。即ち, 雑種成犬12頭について茯苓四逆湯を投与した6頭 (漢方群) と, 生食のみを投与した6頭 (対照群) に分け, ペントバルビタール26mg/kg麻酔下に気管内挿管を行い人工呼吸器に接続し, Wiggers の変法を用いて出血性ショックモデルを作成した。薬剤は代償期直後に注腸法により投与した。茯苓四逆湯は, 茯苓4g, 甘草2g, 乾姜2g, 人参2g, 附子2gを約30分間煎じたものを用いた。
その結果, 平均動脈圧の推移に有意差はみられなかったが, 漢方群では観察期の心係数が2.68l/min/m2と対照群に比して有意に高値を示した。また, 漢方群ではショック後の体温の低下が抑えられた。
茯苓四逆湯は出血性ショックに対し, 心拍出量増加及び体温の保持効果を示し, ショック状態に対する有用性が示唆された。

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