日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
小児例における瘻孔閉鎖を目標とした十全大補湯の使用経験
千葉 庸夫
著者情報
キーワード: 瘻孔, 十全大補湯, 黄誉
ジャーナル フリー

1995 年 46 巻 3 号 p. 427-431

詳細
抄録

瘻孔は炎症性疾患や手術後にみられる難治性の合併症であり, 全身状態が不良であったり局所の状態の問題から治療には長期間を要し, 結局は手術が必要となる事が多い。しかし瘻孔に対して漢方剤で治療し良好な結果が得られている報告がみられることから, われわれは小児の瘻孔形成例9例に対して気血双補の十全大補湯を使用しその効果を検討した。その結果, 頸部や腹部の瘻孔では使用後17日以内で瘻孔が閉鎖, 会陰部附近では痔瘻も含め6ヵ月以内に閉鎖した。本方剤は成人例でも多くの瘻孔に有効であり, 外科では手術後の瘻孔に積極的に使用すべきであると思われた。

著者関連情報
© 社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top