日本東洋医学雑誌
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大防風湯が奏効した全身性アミロイドーシスを伴った慢性関節リウマチの1例
後藤 博三新谷 卓弘三潴 忠道寺澤 捷年
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1995 年 46 巻 3 号 p. 459-465

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抄録

慢性関節リウマチ (RA) においてアミロイドーシス (ア症) による腎障害は予後増悪因子として重要である。今回我々は, 全身性ア症による腎障害を伴ったRAに対し, 大防風湯を投与しRAの活動性と腎機能の改善を認めた一例を経験したので報告する。症例は64歳の女性。主訴は多関節痛。約10年前にRAの診断をうけ金製剤・副腎皮質ステロイド製剤等の投与を受けた。1993年2月に腎機能低下を認め, RAおよび腎障害の加療を希望し同年〓飯塚病院漢方診療科入院となった。入院時RAは Class II, Stage IV で, 胃十二指腸粘膜と腎糸球体にアミロイドの沈着を認め全身性ア症と診断した。大防風湯を投与し2週間後にランスバリー指数は64%から39%に改善し, 4週間後にS-Cr値が1.7mg/dlから1.5mg/dl, 1日尿蛋白が約4gから約2.5gに改善した。退院後, 1年以上を経過しているが, RAおよび腎機能とも増悪なく経過している。

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