1996 年 46 巻 5 号 p. 747-752
ヒト好酸球の接着分子を含む細胞表面抗原の検討をおこなった。好酸球上に常に表現されているCD11bは, サイトカイン非存在下での24時間培養により down-regulation されるが, recombinant human tumor necrosis factor-alpha (rhTNF-α) と recombinant human interleukin-5 (rhIL-5) 存在下では up-regulation された。しかし, VLA-4抗原はサイトカイン非存在および存在下でも変化しなかった。柴朴湯は, rhTNF-αとrhIL-5存在下におけるCD11bおよびVLA-4抗原の抑制効果を認めなかった。柴朴湯は, rhTNF-αとrhIL5存在下の24時間培養により新たに出現するCD54, HLA-DRおよびCD4のうちCD4出現のみを濃度依存性に抑制した。このことは柴朴湯による好酸球の炎症局所における好酸球浸潤の抑制は, 好酸球の走化性に関与しているとされるCD4発現の抑制によることが示唆された。