日本東洋医学雑誌
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自律神経失調が示唆される咽喉頭異常感疾患者に対する漢方製剤の効果
山際 幹和
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1996 年 46 巻 5 号 p. 765-772

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抄録

咽喉頭異常感を主訴とした延べ622名の患者の中で, コーネル・メディカル・インデックス (CMI) 健康調査表中の自律神経症状に関する質問に対する回答結果からその失調状態が疑われた延べ165名の患者を解析対象とし, 咽喉頭異常感に対する半夏厚朴湯, 柴朴湯および柴胡加竜骨牡蠣湯の有用性を再評価し, それと抗不安薬ロフラゼプ酸エチル製剤や自律神経調製剤トフィソバムの同症状に対する有用性と比較し, 以下の成績を得た。
1) 概して自律神経失調症+神経症型は自律神経失調症型に比べ難治である。
2) 上記のいずれの型に対してもトフィソバムの有用性が最も高い傾向にある。半夏厚朴湯, 柴朴湯および柴胡加竜骨牡蠣湯の有用性は自律神経失調症型においてはロフラゼプ酸エチルのそれに劣る傾向があるが, 自律神経失調症+神経症型においてはそれに優ることが示唆された。

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