日本東洋医学雑誌
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難治性症候性癲癇に対する漢方薬治療
肝機能障害, 認知機能障害を伴うリハビリテーション患者における検討
高橋 邦丕野秋 富隆木村 一道首藤 和弘花島 恒雄
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1996 年 47 巻 1 号 p. 27-34

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抄録

症候性癲癇を合併するリハビリテーション途上の38症例に対して, 抗痙攣作用及び肝庇護作用が期待され, さらに認知機能障害を認めない漢方薬 (柴胡桂枝湯および芍薬甘草湯の合薬) の効果を検討した。肝機能障害および認知機能障害の認められる患者に対し, 従来の抗痙攣薬を減量し漢方薬を追加投与した。その結果十分な抗痙攣効果を認めた。この漢方薬は一般抗痙攣薬とは異なった痙攣抑制機序が認められており, 神経組織に対して保護的に作用することが特徴である。種々の副作用が認められる従来からの抗痙攣薬の減量, さらに追加投与する漢方薬の肝庇護作用によって肝機能の著明な改善が認められた。また認知能力に影響を及ぼす一般抗痙攣薬の減量によって, 注意力・動作能力の改善も認められた。肝機能障害や認知能力障害を合併し易い難治性症候性癲癇発作患者に対しては, 抗痙攣・肝庇護・認知機能改善等の視点から, 従来の抗痙攣薬を減量し, 漢方薬の追加投与を試みるべきである。

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