1996 年 47 巻 1 号 p. 71-78
気管支喘息の本態に対する考えは, 免疫学の進歩と共に変遷があり, 近ごろでは遅発型喘息反応が病態の主たるものとの考えが浸透しつつある。しかしながら即時型反応による気道の狭小化も重要な因子となる。中医学的薬能から考えて, これらの病態に有効と考えられる処方を検討した結果, 既製の方剤では効果は十分ではないと考えられた。そこで, 新たに薬能及び薬理作用から組み立てた方剤を用いて治療を行った。これに用いた処方は, 漢方独特の古典的「証」や中医弁証を考慮せず, 薬効・薬理作用のみを考えて組み立てたものであるが, 優れた効果が認められた。